2007年02月01日
「Second Life」は、MATRIXのタマゴなのか(1)
吉村正春
ドラゴンフィールド株式会社
http://dragon.jp
Second Lifeとはなにか
最近、Second Life( http://secondlife.com/world/jp/
)という言葉を聞く機会が増えた。ここ1、2ヶ月に起きたSecond Lifeのニュースを拾ってみると、
・Reuters、オンラインゲームのSecond Life内に支局を設立(06年10月17日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0610/17/news011.html
(ITMedia)
・米議会、Second Life内で儲けたユーザーに課税検討(07年1月5日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/05/news043.html
(ITMedia)
・DAC、企業の「Second Life」進出をサポート(07年1月24日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/26/news099.html
(ITMedia)
・サンダンス映画祭、「Second Life」で上映会開催(07年1月25日)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341476,00.htm
(CNET Japan)
・アドバゲーミング、仮想世界サービス「Second Life」に支店開設(07年1月29日)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341713,00.htm
(CNET Japan)
・ゲーム広告専門会社アドプレイン、「Second Life」にオフィス開設(07年1月29日)
http://japan.internet.com/busnews/20070129/5.html
(japan.internet.com)
ざっと並べただけでも、Second Life絡みでこれほどのニュースがリリースされている。ネットゲーム的な紹介をされるので、スルーしている人も多いと思うが、既存のネットゲームとはまるで異なることを確認しておきたい。
Second Lifeは「ゲーム」と表現されるが、正確な表現とは言えない。あるネットゲーム経験者は「あれ?敵が出てこないの?」と訝しんだそうだが、その感想は正しくて、Second Lifeには圧倒的にゲーム性が欠けている。自由度の高いネットゲームであっても、倒すべき敵がいたり、何らかの目的が課せられているが、Second Lifeにはそれが無い。3Dの仮想空間をウロウロできるだけである。
昨年9月下旬、「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」(主催:デジタルガレージ)に出席した。パネリストのコーリー・オンドレイカ氏(Linden Lab CTO)に、ビデオジャーナリストの神田 敏晶氏が「Second Lifeはどこが面白いんですか?」と質問をした。つまりそういう質問が出るほど、ゲーム性は低い。ゲームと言うよりも、3D仮想空間が広がっている、と解釈するのが適切である。できることと言ったら、3Dの仮想空間内をウロウロして、他の人とコミュニケーションを取ったり、3Dオブジェクトをやり取りしたり、車に乗ってドライブ(※)できたりするだけである。
(※:カーシミュレーターというほどのレベルではない)
五感の内、視覚と聴覚で表現できるものは、Second Life内で再現できると言っても可視化されたバーチャルワールドで何ができるか、実のところ、まだ手探りであることは否めない。しかし、まだ日本語版すら登場していないSecond Lifeがなぜこれほど注目を浴びているのだろうか?
ビジネスの可能性を持つ仮想空間
ネットゲームで今問題になっているのが、ネットゲーム内通貨やアイテムをリアルマネーと取引するRMT(リアルマネートレード)である。多くのネットゲームでRMTが公然と行われており、運営会社はそれを黙認しているという現実がある。RMTはゲーマーの中でも意見が分かれており、未だ完全決着していない。
一方、Second Lifeは、リンデンドルという独自通貨が流通しているが、これは米ドルと普通に換金可能である。つまり普通にビジネスができる土壌が作られているが、これもゲーム性の低さに起因するものだろう。プレイ時間が少なくても、金さえ払えば最強の武器を手に入れることができて、長く遊んでいるプレイヤーに簡単に勝てるようなゲームを面白いと感じるだろうか?不公平感だけが残るだけだろう。既存のネットゲームでRMTが支持されない理由は、金さえあればなんでもアリってゲームとしてどうよ?という不公平感に裏打ちされている。
ところが、Second Lifeにはプレイヤー間の勝ち負けを決定付ける要素が無いので、アイテムの売買はビジネス以上の意味を持たない。実際に、Second Life内で可視化できる3Dオブジェクトデータを売買は普通にされているし、3Dオブジェクトを設置して、何かしらのプロモーションを仕掛けている企業もある。多くは米国企業だが、たとえば、
・アパレルメーカーが、仮想店舗を設置
・来年オープン予定の設計図を基に、仮想ホテルを設置
・米NBCがSecond Lifeのスポーツバーでアメフト試合の生放送をストリーミング配信
・レゴが、組み立て式ロボットの仮想パーツをセカンドライフ内で配布
(参照: http://it.blog-jiji.com/0001/2007/01/post_38e2.html
)
などの試みが実際に行われている。
また、Second Life内の土地売買を通じて、100万ドルを稼いだという人も現れている。(真偽の程は不明)
・Second Lifeで百万長者が誕生か?
http://blog.japan.cnet.com/staff/archives/003384.html
(CNET Japan)
冒頭のニュースで、「米議会、Second Life内で儲けたユーザーに課税検討」というニュースがあったが、これもSecond Life内で看過できないほどの金額が動いていることの証しと言えるだろう。
SLO(Second Life Optimization)登場の必然性
http://publications.mediapost.com/index.cfm?fuseaction=Articles.showArticleHomePage&art_aid=50016
(MediaPost Publications:英語)
上記の記事では、SEO(Search Engine Optimization)ならぬ、SLO(Second LifeOptimization)の必要性を謳っているのである。何ができるだろうか、ということを模索し始めた日本を置き去りにして、どのように効果的にマーケティングに活用していくか、ということに米国の目は向いている。
次回では、上記の記事を紐解きながら、Second Lifeでのマーケティング活動の現状を日産やトヨタなど日本企業の取り組み例にも触れつつ、踏み込んで考えてみたい。
(※Second Life内でプロモーション活動をしている企業の方、取材に参りますのでご連絡ください。必要とあらば、Second Life内での取材もOKです。 :report@e-365.com /週刊e-Report編集部)
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